【定額減税Q&A】扶養家族はいつ時点の? 退職者・転職者・育休中は? ふるさと納税への影響は?

定額減税と調整給付金(補足給付金)に関する動画に、たくさんの質問をいただきました。

本当に複雑な仕組みなので「こういう場合はどうなるんだろう」とたくさん疑問が湧いてきますよね。

たとえば

  • 子どもが生まれて扶養親族が増えたときは?
  • 産休・育休中で6月以降の給与がないとき?
  • 転職したとき、退職したときは?
  • ふるさと納税や住宅ローン減税への影響はどうなる?

今回は、こういった質問にお答えします

▼動画でも詳しく解説しています!

十分な準備期間もなく始まった制度ですから、あちこちで混乱が生じているかと思います。
給与計算の担当者や、市区町村の担当者も、処理を間違えることがあるかもしれません。

しくみを理解して、ご自分がいくら減税をうけられるのか、どのような流れになるのか把握しておいて、間違った処理がおこなわれていないか、ご自分で確認することが大切だと思います。

▼定額減税のしくみについて

会社員のケースと、年金受給者のケースで具体的な減税の方法を解説しています。

定額減税しきれない人への「調整給付金」については、計算方法や支給時期、申請手続きなどをこちらの動画で詳しく解説していますので、あわせてご覧いただければと思います!

それでは質問にお答えしていきます

Q:6月以降に子供が生まれて扶養親族が増えたときの定額減税はどうなりますか? いつ時点で数えるのですか?

扶養人数が増えた分、減税額も増えるのか、というご質問ですが、これについては所得税と住民税で取扱いがちがいます。

所得税については扶養人数にカウントされて、3万円、減税額が増えます。
住民税については、生まれた子供の分はカウントされません。
ですから住民税の減税額が増えることはありません。

もう少し詳しく説明します。

そもそも、この定額減税の制度をややこしくしている大きな要因は、所得税と住民税、両方で減税するという点にあると思います。

ご存知の方も多いと思いますが、所得税は「その年」の所得に税金がかかるのに対して、住民税は前年の所得に税金がかかります。
1年ずれているんですね。

扶養人数も、いつの時点の扶養人数でカウントするのか、所得税と住民税では1年ずれています。

所得税の方は、その年の年末、12月31日時点の扶養人数で判断しますから、所得税の定額減税の金額は2024年12月31日時点の扶養人数で決まります。

一方住民税の方は、昨年の年末時点の扶養人数で判断します。
ですから、住民税の定額減税の金額は2023年12月31日時点の扶養人数で決まります。

ということは、2024年1月以降に子どもが生まれても住民税の定額減税にはカウントされないんですね。
ですから子供の分の住民税の減税はありません。
所得税の方だけ、3万円、減税額が増えることになります。

それで、3万円減税額が増える分はどのように処理されるのか、なんですが、ご質問では「6月以降に子どもが生まれたら」ということで、・・・微妙なところですね。

定額減税は、6月支給の給与・賞与からスタートします。

会社では、おそらく昨年末の年末調整のときに提出した扶養控除申告書をもとに扶養人数をカウントして計算すると思います。
昨年末から5月までに、子どもが生まれたり、家族が就職したりして、会社に扶養親族の変更の連絡をしているなら、変更後の人数で計算してくれるかと思います。

子どもが生まれました、という連絡が、6月支給分の給与計算に間に合えば、子供の分も含めて定額減税の計算をしてくれるかもしれません。

では、間に合わなかった場合はどうなるかというと、2024年12月の年末調整のときに「年調減税」という処理をすることになっていますので、その段階で子供の分、つまり所得税3万円の減税をしてくれるはずです。

その結果、本来おさめるべき税金よりも定額減税の額の方が大きくて減税しきれないということであれば、減税しきれなかった分は、2025年夏ごろに給付金として支給されることになります。

Q:産休・育休中で給与がない場合の定額減税はどうなりますか?

たとえば、5月から産休に入る、そのあと続けて育休をとるので、年末まで給与はずっと支給されない、というケースを見てみましょう。

定額減税は6月1日時点で在籍している社員を対象に実施することになっていますから、休んでいても在籍はしているということで、会社で定額減税の処理をおこなうことになります。

ですが、お給料が出ていないので、所得税は毎月ゼロ円で、ここからは減税できませんよね。減税できないまま12月の年末調整を迎えて、「年調減税」をおこないます。

このときは、1年分の所得をみますから、1月から4月まで働いていた分についていくらか所得税が発生しているのであればそこから減税して、減税しきれなかった分は2025年夏ごろに給付金として支給されることになります。

住民税は産休・育休中でお給料が出ていなくても納めなければいけませんので、そこから住民税分の定額減税がおこなわれます。

あるいは、もう1つ別の方法として、産休・育休中に、夫の扶養に入るという方もいらっしゃるかもしれません。

扶養には、社会保険の扶養と、所得税の扶養があるんですが、社会保険は妻本人が加入している社会保険のままで、所得税の方だけ、産休・育休の間、夫の扶養に入るという方がいらっしゃいます。

その場合は、夫の勤務先の方で、妻の所得税3万円分の定額減税がおこなわれます。

Q:6月以降に転職したら定額減税はどうなりますか?

毎月の給与から定額減税をしていたA社を6月以降に辞めて、B社に転職したとします。

会社を辞めるときには「源泉徴収票」という書類をもらうと思います。
その年の1月以降、いくら給与を支払って、いくら所得税を控除したか、といったことが記載されている書類です。

その源泉徴収票の一番下、摘要欄に、定額減税としてすでにいくら引いて、引ききれなかった額はいくらか、ということが記載されるはずです。

たとえばこの方、扶養親族が3人いて、所得税減税が12万円ということですけど、

A社ではそのうち5万円分の減税処理がもう終わりました、

ということであれば
ここが5万円、そして残りの7万円が「控除外額」のところに記載されます。

それを転職先のB社に提出して、B社で残りの減税処理をしてもらうんですが、毎月の給与から定額減税の処理をおこなうのは「6月1日時点で在籍している社員」ということになっていますから、B社では毎月の給与からの定額減税はおこないません。

年末調整のとき、つまり「年調減税」で減税することになります。

Q:定額減税はふるさと納税に影響しますか?

まず、昨年、2023年にふるさと納税をした人は、今年2024年の住民税額が減っているはずですが、定額減税に影響はないのか・・・というと、

こちら、影響はありません。
減った後の住民税額から定額減税がおこなわれます。
定額減税しきれない場合は給付金となります。

では、今年2024年にする「ふるさと納税」には影響があるのかというと
こちらも影響はありません。

ふるさと納税の限度額は、定額減税分を引く前の額で決まるので、これまでと何も変わらないということになります

Q:住宅ローン控除を受けている場合の定額減税どうなりますか?

定額減税によって住宅ローン減税に影響はありません。
年末調整で先に住宅ローン控除をして、その後の所得税額が、定額減税の対象となります。
医療費控除やiDeCoなども同じ考え方です。

住宅ローン控除は金額が大きいので、所得税がゼロになる方も多いと思います。
引ききれない場合は給付金として支給されます。

具体的なご質問をご紹介します。
「2人世帯で住宅ローン減税を受けていて、2023年の年末調整で源泉徴収額がゼロだった場合は、調整給付金が6万円になるという事で合っていますか?」

はい、それで合ってます。

調整給付金は、一刻も早く給付金を支給するために前年2023年の所得でいったん計算して、定額減税しきれないと見込まれる額を1万円単位に切り上げて支給するものですから、2023年の年末調整で住宅ローン控除を受けた結果、所得税がゼロだったのであれば、この夏に調整給付金として2人の所得税分6万円が支給されるはずです。

もし、住民税の方にも減税しきれない額があれば、そちらもあわせて調整給付金となります。

▼定額減税調整給付金については動画で詳しく解説しています!